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それから工業化、都市化が農業開発に及ぼすマイナスの影響もあります。日本をはじめアジアの諸都市では、水や土地の利用が農業のみならず工業、都市にも活用されています。今後はそのバランスを良く考えなくてはなりません。工業化や都市化を止めることはできませんが、これらによって食料生産が悪化させられてもなりません。人口が増加を続けるなかで食料も確保しなければならないのです。行政の介入も考慮しながら、農業用水を慎重に管理的に使用することが必要不可欠です。

 

ニュージーランドからの御質問に関してお答えします。複数のNGOグループが、子供、婦人、特に遠隔地に住んでいる人々に対して水資源に関する教育を支援しています。聞くところによりますと、アメリカではこのような水資源に関する教育が非常に盛んになってきているそうです。私たち自身も、国民、市民に対しまして水資源がいかに限られているかについて語らなければならないと思います。

 

また、フィリピンの代表のご質問ですが、ダムが必要か不要かは十分な検討を行っていく必要があります。現在、ラオスが第二ナムグムダムを建設しようとしております。この建設によって環境に影響が出てくるのではないかという批判が出ています。しかしながら、ラオス政府は電力を売ることによって外資が獲得できるといってこの計画を推進しています。大規模開発は、環境への付加、インパクトという点で、一国だけの問題ではなく他国間の地域の問題となってきます。このような観点からの十分な検討が必要なのです。

 

議長からの質問に関してですが、土壌に合った栄養を補給することが重要です。ドロマイトとはマグネシウム源です。比較的酸性度の高い土壌の場合、カルシウムだけでなくマグネシウムも不足しています。酸性度を中和するために石灰を撒きますが、石灰を入れてカルシウム分だけを補充しても、土中にマグネシウムがあまりにも少ないと、窒素やリンなどの肥料を入れても収量は回復しません。したがって、インドネシアの場合にはこの酸性土壌にドロマイトを施すことで収量の改善を図ったのです。この土壌栄養素の改善をどのようにしたらよいか、というご質問についてですが、たとえば米の場合16種類の栄養素が必要です。しかし、農民が窒素肥料以外の栄養素を補給するために施肥しようとすることはまれです。土壌条件などに合った適切な管理が必要となってきます。

 

 

 

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